業務スーパーで「買ってはいけないオリーブオイル」は存在する?噂の真相と失敗しない選び方

健康や美容によい油として、毎日の食卓に欠かせないオリーブオイル。しかし、一般的なスーパーで良質なものを買おうとすると、その価格の高さに驚くことも少なくありません。

そんな中、業務スーパーに足を運ぶと、他店の半額、あるいはそれ以下の価格でオリーブオイルが山積みされています。「この安さは異常ではないか」「もしかして偽物や危険な油なのでは?」と不安を感じ、購入をためらってしまう方も多いはずです。

検索エンジンで「業務スーパー オリーブオイル」と入力すると、「買ってはいけない」「やばい」「偽物」といったネガティブなキーワードが並びます。これを見ると、ますます不安になってしまうのも無理はありません。

しかし、結論から言えば、業務スーパーのオリーブオイルのすべてが「悪」ではありません。重要なのは、商品ごとの「グレード(等級)」と「用途」を正しく理解することです。ここを間違えると、「生で食べたら美味しくない」「すぐに風味が落ちた」といった失敗につながり、結果として「買ってはいけない商品だった」と後悔することになります。

目次

結論:業務スーパーで「買ってはいけないオリーブオイル」とは何か

多くの人が検索する「買ってはいけない」という言葉。この真意について、まずは結論から明確にしていきます。業務スーパーで販売されているオリーブオイルの中に、毒性があったり、法に触れるような危険な商品は基本的には存在しません。

しかし、消費者が抱く「期待」と、商品の「実力」が釣り合わない場合、それは「買ってはいけない商品」となってしまいます。

品質が危険なわけではないが「用途のミスマッチ」が失敗の原因

「買ってはいけない」と言われる最大の原因は、購入者側の「用途のミスマッチ」にあります。例えば、香り高いエキストラバージンオリーブオイルだと思って購入したのに、実際には香りのない調理用のオイルだった場合、「美味しくない」「騙された」と感じてしまうでしょう。

業務スーパーには、プロの飲食店が使うような「揚げ物専用の安いオリーブオイル」から、家庭でパスタやサラダに使う「風味重視のオイル」までが混在しています。これらを価格だけで判断して購入してしまうと、高い確率で失敗します。「品質が悪い」のではなく、「自分の目的に合っていないものを選んでしまっている」ことが問題の本質なのです。

絶対に避けるべき「生食でのポマースオイル」

具体的に「買ってはいけない」ケースの筆頭が、「オリーブポマースオイル」を生食用として購入することです。後ほど詳しく解説しますが、これはオリーブの搾りカスから化学的に抽出した油であり、オリーブ特有のフレッシュな香りや味わいはほとんどありません。

これをパンにつけたり、カルパッチョにかけたりしても、油っぽさを感じるだけで美味しさは感じられません。「安いから」という理由でポマースオイルを食卓用として買うことは、満足度が著しく低くなるため避けるべきです。

一般家庭にはリスクが高い「業務用大容量サイズ」

もう一つの「買ってはいけない」は、5リットルなどの超大容量サイズです。業務スーパーならではの魅力的な商品ですが、一般家庭での消費スピードでは、使い切る前に油が酸化して劣化してしまいます。

劣化した油は味が落ちるだけでなく、健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。「お得だから」といって使いきれない量を買うことは、結果として食品ロスや健康リスクを招くため、おすすめできません。

なぜ「買ってはいけない」と言われるのか?安さと品質の秘密

業務スーパーのオリーブオイルが、他店に比べて圧倒的に安いのは事実です。500mlで数百円、時にはそれ以下の価格で販売されていることもあります。

この安さが逆に消費者の不安を煽り、「何か裏があるのではないか」という疑念を生んでいます。

「偽物だから安い」は間違い!神戸物産の直輸入システム

まず、「安い=偽物・粗悪品」という図式は、業務スーパー(運営:神戸物産)に関しては必ずしも当てはまりません。業務スーパーの安さの最大の秘密は、徹底的なコストカットと独自の流通ルートにあります。

一般的なスーパーの商品は、海外メーカー→商社→卸問屋→小売店という多段階の流通を経て店頭に並ぶため、その都度マージンが加算されます。一方、業務スーパーは、海外の協力工場から「コンテナ単位」で直接大量に買い付け、自社の物流網で店舗まで運びます。間に業者を挟まない「直輸入」だからこそ、驚異的な低価格を実現できるのです。

世界的な「オリーブオイル偽装問題」と日本の基準

ネット上で「偽物」という言葉が飛び交う背景には、世界的なオリーブオイル市場の闇も関係しています。実際、海外では安価な植物油を混ぜたり、着色料で色をつけたりした「偽装エキストラバージン」が問題になることがあります。

しかし、日本国内で正規に販売される商品は、JAS法(日本農林規格)や食品表示法に基づく厳しい基準をクリアしなければなりません。大手企業である神戸物産が、コンプライアンスリスクを冒してまで違法な偽装品を販売するメリットはありません。

少なくとも、ラベルに記載されている内容と中身が異なるような明らかな詐欺商品は並んでいないと考えて良いでしょう。

安さの代償?風味や香りの複雑さは高級品に劣る現実

とはいえ、1本3000円する専門店のエキストラバージンオリーブオイルと、業務スーパーの500円のオイルが同じ品質かと言えば、それは違います。

業務スーパーで扱っている安価なオイルは、機械で効率よく収穫されたオリーブを使用していたり、ブレンドによって品質を均一化していたりするため、高級品のような「若草のような香り」「喉を刺激するピリッとした辛味」といった個性は弱くなります。

あくまで「日常使いのスタンダードな品質」であると割り切ることが大切です。最高級の風味を求める人にとっては「買ってはいけない」商品かもしれませんが、普段の炒め物や煮込み料理に使う分には十分なクオリティを持っています。

失敗しない選び方「オリーブポマースオイル」と「エキストラバージン」

業務スーパーでオリーブオイル選びに失敗しないためには、商品のラベルに書かれている「種類」を理解することが不可欠です。特に重要な2つの種類について解説します。

エキストラバージンオリーブオイルは「オリーブのジュース」

「エキストラバージンオリーブオイル」とは、オリーブの実を砕き、物理的に搾っただけのオイルのことです。化学的な処理は一切行われておらず、いわば「100%天然のオリーブジュース」です。

酸度が0.8%以下という国際的な基準があり、オリーブ本来の香りや風味、そしてポリフェノールなどの栄養成分が豊富に含まれています。生で食べるなら、必ずこの表記があるものを選んでください。

オリーブポマースオイルは「溶剤で抽出した精製油」

一方で、注意が必要なのが「オリーブポマースオイル(Olive Pomace Oil)」です。「ポマース」とは「搾りカス」を意味します。 一番搾りのエキストラバージンを採った後の残りカスにも、まだ油分が残っています。

これをヘキサンなどの有機溶剤を使って溶かし出し、精製して色や匂いを取り除いたものがポマースオイルです。これに少量のバージンオイルを混ぜて風味付けをして販売されます。

精製されているため、風味や香りはほとんどなく、健康効果もエキストラバージンに比べて劣ります。しかし、発煙点が高く加熱に強いため、揚げ油としては優秀です。「安いエキストラバージンだ」と勘違いして買わないよう、ラベルをよく確認しましょう。

ラベルの「名称」と「原材料」を確認する習慣をつけよう

売り場で商品を手にとったら、必ず裏面の「一括表示」を見てください。「名称」の欄に「食用オリーブ油」とだけ書かれている場合でも、原材料名や商品名にヒントがあります。

「Pomace(ポマース)」という英単語が入っていないか、日本語で「精製オリーブ」という言葉が入っていないかをチェックします。ここを確認するだけで、期待外れの商品を買ってしまうリスクを9割減らすことができます。

酸化のリスクを無視してはいけない!5リットル缶の落とし穴

業務スーパーの油脂コーナーで目を引くのが、枕のような大きさの5リットル缶やペットボトルです。飲食店の厨房で見かけるサイズですが、一般家庭で購入するのは非常にリスクが高いです。

オリーブオイルは生鮮食品!開封後から劣化が始まる

オリーブオイルは光、熱、そして酸素に非常に弱い食品です。未開封なら1年以上持ちますが、一度キャップを開けて空気に触れると、その瞬間から酸化が始まります。 特にエキストラバージンオリーブオイルの繊細な香りは、開封後数週間で飛び始めます。

酸化が進むと、「油粘土」のような不快な臭いが発生し、味も劣化します。美味しく食べられる期間は、冷暗所で保存しても開封後1ヶ月〜2ヶ月程度が限界です。

酸化した油が体に与える悪影響とは

酸化した油は、単に不味いだけではありません。「過酸化脂質」という物質が発生し、これが体内に入ると細胞を傷つけたり、老化を早めたりする原因になります。食べた後に胃もたれや胸焼けを感じるのは、油が劣化しているサインかもしれません。 健康のためにオリーブオイルを摂っているのに、酸化した油を摂取して体を壊しては本末転倒です。

コスパよりも鮮度!家庭で使い切れる適正サイズ

5リットルを2ヶ月で使い切るには、毎日約80ml(大さじ5杯以上)を使い続けなければなりません。4人家族でも、揚げ物を頻繁にしない限り消費するのは困難です。

結局使い切れずに捨ててしまうことになれば、いくら単価が安くても無駄遣いになります。家庭用であれば、どんなに大きくても1リットルまでのサイズを選び、こまめに買い替えて常に新鮮な状態を保つことこそが、本当の意味での「賢い買い物」です。

プロも納得?業務スーパーで買うべきおすすめのオリーブオイル

ここまで「買ってはいけない」条件を見てきましたが、業務スーパーには価格以上の価値がある「買うべき」オリーブオイルも確かに存在します。

狙い目は「遮光ボトル」と「産地限定」の商品

おすすめなのは、透明なボトルではなく、濃い緑色や茶色の「遮光ボトル」に入った商品です。これは光による劣化を防ぐための工夫であり、品質への配慮がなされている証拠でもあります。

また、「イタリア・ウンブリア産」「スペイン・アンダルシア産」のように、具体的な産地が明記されている商品は、ブレンドの範囲が限定されているため、その土地ごとの特徴ある風味を楽しめる傾向にあります。

普段使いに最強のコスパを誇る1リットルボトル

具体的な商品としては、1リットルの角型ペットボトルに入ったエキストラバージンオリーブオイル(スペイン産やイタリア産直輸入のもの)が最強のコスパを誇ります。

これらは、高級品ほど強いクセがなくマイルドな味わいのものが多いため、ドレッシングからパスタ、炒め物までオールマイティに使えます。「加熱用に高いオイルを使うのはもったいないけれど、サラダ油は使いたくない」という層にとって、これ以上ない選択肢となります。

本物の味を楽しむための保存方法のコツ

良いオリーブオイルを手に入れても、保存方法が悪いとすぐに「買ってはいけない状態」になってしまいます。 コンロの近くなどの「高温になる場所」や、窓際などの「直射日光が当たる場所」は厳禁です。シンク下の収納や食器棚など、温度変化が少なく暗い場所で保管してください。冷蔵庫に入れると白く固まってしまうため、常温保存が基本です。

まとめ

  • 業務スーパーのオリーブオイルは、企業努力による直輸入で安さを実現しており、決して偽物や危険な商品ではない
  • 「買ってはいけない」と感じる主な原因は、用途に合わない「ポマースオイル」や、使い切れない「大容量サイズ」を選んでしまうことにある
  • 生食や香りを楽しみたい場合は、必ず「エキストラバージンオリーブオイル」と記載されたものを選ぶ
  • 「オリーブポマースオイル」は、風味は期待できないが、揚げ物などの加熱調理用と割り切って使うならコスパが良い
  • 一般家庭では、酸化リスクを避けるために5リットルサイズは購入せず、1〜2ヶ月で使い切れるサイズを選ぶべきである
  • 遮光ボトルに入った産地表記のあるエキストラバージンオリーブオイルは、価格以上の品質が期待できるおすすめ商品である
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この記事を書いた人

本業は医療技術系の業務。子供が生まれたのをきっかけに食の安全について考える事が多くなり、オーガニックへの興味を持つようになる。そして食の安全や体にとってやさしい生活が出来るような情報を発信すべく、「ゆったりオーガニックライフ」を開設。読者にとって有益な情報が発信できるよう日々記事を執筆中。

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